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[作品レビュー]アプサラス,我楽多東京/夏のhaze

どうも、ふぁずです。

作品レビュー第1回は、5/6に開催された第十五回博麗神社例大祭にて頒布された、アプサラスと我楽多東京のスプリット「夏のhaze」です。


 

まず、この作品はアプサラスと我楽多東京の若手バンド2組によるスプリットなのですが、とにかく完成度が高いです。多忙な中での製作だったようですが、それを感じさせない強固なコンセプト、楽曲のクオリティの高さ。そして何よりも、各バンド2曲ずつ計4曲入りCDにアプサラスのボーカル・あまは氏による漫画のブックレットのセットという大ボリューム。この点でまず驚かされました。そして、あまは氏によるジャケットイラストも美麗で、そして個性に溢れています。

 

気になる楽曲ですが、アプサラスによるTr.1「夏のhaze」は、全体的には爽やか且つ疾走感のある印象ながら、代表の飴宍氏のパンチのあるジューシーなギターが絶妙なスパイスとなっています。また、葦田氏の奏でる瑞々しいサウンドのピアノも重要なポイントと言えます。そして、あまは氏の書く歌詞が繊細ながらエモーショナル、その歌声も儚さに溢れていて、楽曲の世界観にぴったりとマッチしています。

 

Tr.2は我楽多東京による「境界線ドライバー」。アニメソングのようなキャッチーさと、安定感のあるボーカル、心地よいドライブ感のあるギター、跳ねるような明るいシンセ。そのレベルの高さと聴きやすさに思わず唸ります。これだけの聴きやすさを誇りながらも、儚さを感じる歌詞に良い意味でギャップを感じます。

 

Tr.3はアプサラスの「フラジール・エゴ」。イントロから悲しげなピアノ、ダウナーでノイジーなギターが溢れ出し、聴く者をその世界へと引き込みます。サウンドだけではなく、歌詞も極限まで暗く不穏ですが、曲全体の展開は非常に面白く、6分オーバーという尺の長さを感じさせないものとなっており、むしろこの楽曲の世界に溺れるにはちょうどいいくらいと言っても過言ではありません。

 

Tr.4は我楽多東京の「p.s.」。作品の締めくくりにはぴったりな幻想的な、アンビエントチックなサウンドとなっています。シンプルながら、しっかりと楽曲に浸れます。


ブックレットの方は、非常に興味深い内容になっており、ページをめくる手が止まりませんでした。もちろん、クオリティも非常に高く、楽しく読ませて頂きました。


まとめ

CDは全体を通して曲調的にも、世界観的にも非常に「静」と「動」のようなものがきっちりと分けられており、ダレる事無く聴けました。基本的には全楽曲のサウンド面でのキャラクターは爽やかで疾走感がありキャッチーなイメージだったので、「夏のhaze」という作品名らしく、これからの時期にキリッと冷やしたコーヒーか麦茶でも飲みながらゆっくり聴くのが合うな、と思いました。

そして、冒頭でも書きましたが若手ながら両バンドとも非常に高いクオリティで、今後の活動もかなり楽しみです。


「夏のhaze」XFD

各バンド公式HP


文・編集:ふぁず